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痴漢を疑われた場合に「電車を降りろ」と言われたらどうすべきか?弁護士さんに聞いてみた

【目次】

痴漢に疑われるのは恐ろしい。知識武装はしておいて損はない

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2017年6月3日に総武線平井駅での痴漢(と疑われる)事件が発生したというニュースが流れました。

総武線 平井駅で痴漢冤罪の男性が警察に連行される事件発生 電車遅延 6/3 - NAVER まとめ

平井駅 痴漢冤罪騒ぎで電車遅延→無罪の男性の逮捕に乗客が猛抗議!

現時点では,これが冤罪なのか知る術はありませんし,素人が軽々に判断することでもありません。痴漢事件が実際に存在することは間違いありませんし,「痴漢偽装」もあり得ます。女性の立場からすれば,痴漢は恐ろしい存在です。それはよくわかります。

一方で,本件関連で有名な「弁護士三浦義隆のブログ」さまでも紹介されているように,痴漢を疑われた人がビルから転落して死亡するという事故も起きています。この被疑者や過去の事件が冤罪だったかどうかは不明ですが,電車で通勤する人間にとっては他人事ではありません。

三浦弁護士は,上記の記事で,

駅事務室などに同行を求められても絶対に行ってはいけない。

自らの身分を告げる等して平穏に立ち去ることができればベスト。

ということを述べられています。詳しくは上記の記事をお読みください。

さて,話は戻りまして,電車内で痴漢を疑われた場合どうするかです。電車が遅延することは多くの人に迷惑をかけます。警察官に「ほら,みなさんに迷惑がかかるんだから,とりあえず電車を降りて!」と言われて抗えるでしょうか。非常に不安になりました。

そこで,日頃から親交のある弁護士の陸弁(@rickbenflyer )氏に話を聞いてみたところ,大変に参考になる意見をいろいろいただけたので,陸弁氏の許可を得て,知見を共有すべく記事にまとめることにしました。

本来であれば,弁護士でもない民間人の私が書くべき記事ではないということは重々承知していますが,これだけ「誰にでも起こり得る」問題です。知識武装によって,一人でも助かる人がいればという思いで書かせていただきます。

なお,普段の本ブログとはかなり方向性の違う記事になりますが,その点もご容赦ください。

 

三浦弁護士の「痴漢を疑われても逃げるべきではない理由」から学ぶ

まず,論点の整理として三浦弁護士の「痴漢を疑われても逃げるべきではない理由」から,端的に痴漢を疑われた場合の対処法をまずはまとめてみたいと思います。正確に理解したい方は,必ず下記の記事をご参照ください。

痴漢を疑われても逃げるべきではない理由 - 弁護士三浦義隆のブログ

駅事務室などに同行を求められても絶対に行ってはいけない。

まず,この件についてですが,「駅事務室への同行=私人による現行犯逮捕」となり,後に警察に引き渡されたら,「被疑者を警察に引き渡した」となり適法な逮捕の体裁を整えられてしまうからだそうです。

自らの身分を告げる等して平穏に立ち去ることができればベスト。

そこで,上記の対応が必要になるということです。ここで三浦弁護士が強調されているのは,「逃げる」と「平穏に立ち去る」は明確に区別すべきということです。逃げるということは,逃亡や証拠隠滅のおそれが高く,むしろ逮捕・勾留のリスクが高まると指摘されています。

したがって,身分を明かすなどして,逃亡や証拠隠滅をする必要はなく,必要があれば後日,警察署に出頭するという態度を明確にして,平穏に立ち去るのがベストと解説されています。それが難しければ,次の選択が必要となります。

「その場を動かず弁護士を呼ぶ」 

弁護士を呼ぶことによって,上記の「平穏に立ち去る」ということができる可能性が高くなるということです。

「どうせ逮捕された時点で人生終わりだから危険を冒しても逃げた方がいい」みたいなネット通説は誤りだ。正確にいうと、10年前ならある程度正しかったかもしれないが、今は誤りになりつつある。

映画「それでもボクはやっていない」が公開されたのは,ちょうど10年前,2007年1月20日です。三浦弁護士は,この10年で大きく痴漢冤罪を巡る事情は大きく変わり,現在では痴漢を否認していても,最大で20日間にも及ぶ勾留をされることは減ったと述べています。

 

電車内で痴漢を疑われた場合はどうすればいい?

陸弁氏に聞いたところ,基本的には三浦弁護士と見解は同じだということでした。痴漢を疑われた場合に,まず必要なのは下記の3つのとのことです。

・現行犯逮捕されないだけの証拠集め=目撃者
・任意同行に応じない精神力
・すぐに弁護士に連絡

そして,今回の平井駅の事件の場合,2つ目が問題になります。最終電車に近い時間に電車が遅延することの大変さは,サラリーマン諸氏ならみんな知っていることです。それでも一人で闘えるのか…。

警察官に半強制的に電車から降ろされるのは「任意同行」の限界を超えている

総武線 平井駅で痴漢冤罪の男性が警察に連行される事件発生 電車遅延 6/3 - NAVER まとめ

平井駅 痴漢冤罪騒ぎで電車遅延→無罪の男性の逮捕に乗客が猛抗議!

しかも,事件報道を読んでみると,1つ目の「目撃者」による証言も多数あったにもかかわらず,半強制的に電車から降ろされているという状況のようです。これについて,陸弁氏は下記のような見解でした。

本件、もし半強制的に電車から降ろされたのであれば、任意同行の限界を超えている気がします。限りなくクロに近いグレーです。

なぜかというと,本件の状況で警察官がおこなえるのは,法律的には「任意同行」であって「逮捕」ではないからだということです。ちなみに,上記のまとめ記事では「強制執行」という言葉も出てきますが,これは民事事件で使われる用語で,本件では適切ではないとのことでした。

■覚えておこう■
任意同行=文字通り任意。でも、ちょっとくらいの有形力行使はOK
逮捕=原則として裁判所が出す令状がないとダメ。例外は現行犯(と緊急逮捕)。身柄拘束のための有形力行使OK
→「有形力の行使」が「ちょっと」(ex肩に手をかける)にとどまるなら任意同行って言えるけど、そうじゃないと逮捕になるので、原則として令状がないとダメ。
→例外である「現行犯」にならないよう、目撃者確保は重要。

上記は陸弁氏に整理していただいた「任意同行」と「逮捕」の違いと,「有形力の行使」が認められる範囲です。

本件の現場にいたわけでないのでわかりませんが,被疑者をつり革から引っぺがして抱きかかえて連行したような状況だったのであれば,「有形力の行使」の限界を超えており,間違いなく違法とのことです。半強制的に連行されそうになった場合は,「逮捕ではなく任意同行ですよね?」と訴えるのが良さそうです。

「他のお客さんの迷惑になりますよ?」という説得にどう対応するか

では,半強制的に連行されるのではなく,「他のお客さんの迷惑になりますよ?」という説得の場合にどう対応するかです。この場合の対応策については,

知識武装して、「あなたがた(警察官)は、本来法律上できないこと(逮捕)をやろうとしています。他の乗客に迷惑をかけているのはそちらではないか」ということを警察官にも周りにもアピールすれ場だいぶ気分は楽になるでしょう

ということでした。つまり,「電車を遅延させて他の乗客に迷惑をかけているのは,私(自分:被疑者)ではなく,あなたがた(警察官)ですよ?」という主張をするということになります。逆転の発想ですね。

「本来,法律上できないこと」について,さらに陸弁氏は整理をして,

痴漢をしていないと証言してくれる目撃者がいて「罪を犯したことが明らか」とはいえない→現行犯逮捕できない
令状がない(というか出せない)→通常逮捕もできない
自分は降りる気がない→任意同行としてこれ以上の有形力行使はできない 

ということになると解説してくれました。

警察官による「正当な職務執行」とは

さらに,警察官による(不当な)説得が続く場合の理論武装についても教えていただきました。とにかく,「電車を止めている」ということの心理負担は極めて大きいと思われますので,多方面の知識武装が必要です。

「いま説明したように、あなたがた(警察官)にはこれ以上取れる手段はないということです。それにもかかわらず、説得を続けるのは正当な職務執行と言えるのでしょうか。他の乗客に迷惑がかかっています。『できないってわかりながらできないことをやろうとする』というのは国家賠償法上でも違法です。それでも続けるのであれば、これは職務質問ということだと思いますので、あなたの官名・職名・氏名を明らかにしてください。(警視庁)警察職員服務規程に『身分の表示』義務がありますよね。後に弁護士と相談させていただきます」

ちょっと長くなりましたが,国家賠償法と警視庁警察職員服務規程を引用しています。法律名や規定名まで持ち出すかどうかはともかく,上記のような反論の方法があることは知っておいた方が良いと思います。

国家賠償法は下記の通りです。

第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

警視庁警察職員服務規程は下記の通りです。

(身分の表示)
第18条 職員は、相手方から身分の表示を求められた場合は、職務上支障があると認められるときを除き、所属、階級、職及び氏名を告げなければならない。

周囲の乗客も巻き込んで,「警察による不当な職務執行には応じない」という状況作りが重要だということでした。その際,努めて冷静にという点が重要だとのことです。努めて冷静にです。

もちろん,こうした知識武装による対応をおこないながら(おこなう前に)一刻も早く弁護士さんを呼ぶことが必要不可欠だということです。知人の弁護士がいればベターですが,弁護士会ないしはTwitterでの呼びかけも方法の一つだとのこと。下記の三浦弁護士の記事も参考になるかと思います。

痴漢を疑われた場合の弁護士アクセス手段をいくつか挙げておこう - 弁護士三浦義隆のブログ

 

補足:「スマホで片手がふさがっていた」という証拠の立証方法

 周りの乗客が無罪(=冤罪)だと警察に伝える!
(冤罪の男性は片手がつり革もう片手がスマホと周りも証言する)

平井駅 痴漢冤罪騒ぎで電車遅延→無罪の男性の逮捕に乗客が猛抗議!

陸弁氏より,もう一つ補足のアドバイスをいただきました。上記の記事の中で,「冤罪の男性は片手がつり革もう片手がスマホと周りも証言する」という主張が出ています。

このように,周囲の目撃者が証言をしてくれればまだいいのですが,いつもそういう目撃者が確保できるとは限りません。そういう場合,普段のスマホでの思わぬ行為が証拠になる場合もあるとのことです。

冤罪立証のために目撃者探しは大事ですが、なかなかうまくいかないこともあります。そういう場合にはLINEやTwitterなどでチャットをしているとタイムスタンプが残るので「片手はふさがっていた」と主張しやすいです。

なるほど!と膝を打ちました。これは覚えておいた方がいいアドバイスです。

 

まとめ

改めて申し上げますが,本記事の執筆者である私は法律の素人です。それでも,自分自身が痴漢が疑われたときにどう振る舞えばいいのかについて,日頃から親交のある弁護士の陸弁(@rickbenflyer )氏に話を聞いてみたことをまとめてみました。

まず,痴漢を疑われたときの基本的な考え方としては,下記の三浦弁護士の記事をまずはお読みになるべきかと思います。

痴漢を疑われても逃げるべきではない理由 - 弁護士三浦義隆のブログ

痴漢を疑われた場合の弁護士アクセス手段をいくつか挙げておこう - 弁護士三浦義隆のブログ

痴漢冤罪問題は刑事司法問題の縮図だ - 弁護士三浦義隆のブログ

痴漢を疑われた場合にとりあえず必要なことは,陸弁氏も下記の3点だとおっしゃっています。

・現行犯逮捕されないだけの証拠集め=目撃者
・任意同行に応じない精神力
・すぐに弁護士に連絡

その上で,さらに「痴漢を疑われた場合に「電車を降りろ」と言われたらどうすべきか?」について,解説をしていただいたことを自分なりにまとめてみました。

振り返ってみると,本件については「任意同行」と「逮捕」は異なるという点がポイントだということでした。事件発生後に駆けつけた警察官は,被害者の申告があっても,その場では逮捕状がなければ「逮捕」はできないという点が重要だとのことです。「任意同行」には応じる義務はないので,それに抗う方法を教えていただきました。

冒頭でも述べましたが,痴漢を疑われたときに駅事務室について行いってはいけないのは,三浦弁護士も述べるように,「私人(被害者や目撃者など)による現行犯逮捕→警察官への身柄の引き渡し」というロジックが成立するからだということです。「現行犯逮捕」は,逮捕状がなくても唯一例外的に「逮捕」が可能です。これだけは避けなければなりません。

以上,自分に対するメモのようなものですが,情報を必要とする方にご一読いただければと思い,素人ながら弁護士さんに教えていただいたことを自分なりにまとめてみました(本記事は陸弁(@rickbenflyer )氏にも確認していただいています)。少しでもお役に立てば幸いです。

なお,本記事についてはコメント欄で質問をいただいても,当方は法律の専門家ではございませんので,返信できかねることが多いと思います。その点,あしからずご了承ください。

追記:本記事のような知識武装が「冤罪の偽装」を助長しかねないというコメントをいただきました

長文のコメントをいただきました。痴漢が女性にとって敵であることは事実だと思います。私自身の見解は差し控えさせていただき,ご希望に沿って本文にもそのまま転載させていただきます。

善意第三者 2017-06-03 17:55:46

記事の作成お疲れさまでした。 大変読み応えのある記事でしたが、この風潮に気になる点がありますので、コメントさせていただきます。 私はこのような知識武装が「冤罪の偽装」に使われる点を非常に危惧します。 冤罪被害者を減らすことにも役立つでしょうが、 実犯罪者の手段を確立させ、被害者救済を減らしてしまう点が心配です。 犯罪者はその多勢が実はとても賢く、また周到で陰湿です。そんな犯罪者の心理として、彼らがより、リスクを減らす為に、このような知識武装をしないとは感じ得ません。 女性の狂言でない限り、痴漢被害は発生していることは、ほぼ事実です。その際に、女性は第一に被害者側に立つというのが原則かと思われます。やはり、親告罪としての性質を受け継ぐ以上は、この被害者側に、犯人を特定し易くしてあげることや、状況証拠としての意見を正当に主張できる環境作りが早急課題かと思います。 性善説ではなく申し上げますが、犯罪者がバレないように尻を触り、穏便に立ち去る事が出来れば、証拠は残らず、女性側が泣き寝入りという構図が見え透いています。 痴漢冤罪被害者に対してはとても気の毒に思いますし、警察と司法の欠陥ですから、無くさないといけません。しかし、冤罪被害者が発生するほどの痴漢加害者が存在しているのも事実です。 線路をダッシュした人は、逃げて転落死された人は、果たしてシロだったのでしょうか? 悪い奴は、善い行いを悪用します。 拙文で大変恐縮ですが、コメント等として掲載されることを望みます。

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